断熱設計部

快適な温度と湿度とは?

さいたま断熱改修会議 議長の佐藤です。

今年の梅雨明けは早かったですね。
6月6日に梅雨入りし、わずか3週間後の6月27日に梅雨明け発表。
思い返しても私の人生で6月中の梅雨明けは初めてだと思います。

夏の暑さや冬の寒さもツラいですが、ムシムシする梅雨の時期はとにかく不快。
実は指標の一つに不快指数というものが存在します。
梅雨の時期は温度が高く湿度も高いため、不快に感じます。
しかし、湿度が何%であっても、気温が下がれば快適に感じることがあるのです。

不快指数の計算式は以下です。
0.81×気温+0.01×相対湿度(0.99×気温−14.3)+46.3
同じ湿度70%でも、温度によって不快指数は大きく異なります。

そして、もう一つ快適・不快の指標として、着衣量や運動量、個人差もあるものの、どの程度快適かを示す「PMV(=Predicted Mean Vote)」があります。
日本では「平均予想温冷感申告」とも訳されます。
PMVは、温度、湿度、放射、気流、活動量、着衣量の6つの要素から算出され、人がどれくらい快適に感じるかを表します。
1994年に国際規格(ISO7730)になり、現在では世界各国でオフィスづくりの温度指数として採用されています。
PMVの推奨使用範囲は、-2.0から2.0。
推奨快適範囲は、-0.5から0.5です。

放射(温度)は、壁や天井、床、家具などから放出された赤外線によって人体に伝わる熱のこと。
PMVにおいて着目すべき点は、人的要因の活動量(代謝量)と着衣量です。
例えば、活動量はMet値と言い、安静時や睡眠時は0.7、イスに座っているときは1.0といったように定義されています。
また、着衣量はclo値と呼ばれ、半袖半ズボンならclo値は0.3、シャツとズボンなら0.5といったように定義されています。
これらの数値をすべて総合してPMVを算出します。
PMVの計算式の参考は下記よりご覧ください。
http://www.mogami.com/pmv-01.html

以下は、今年の春にお引き渡しをした上尾市のHD様邸において、温湿度データとご家族の着衣量、運動量から算出されたPMV値について。
データは2022年7月7日 室内外の温湿度の記録です。

まず、屋外の環境について。
この日の外気温は30.1℃、相対湿度56%(絶対湿度15.06g/kg)でした。
この状態では、PMVは0.9とやや不快な領域になります。
実際、その日は蒸し暑いと感じました。

室内のLDK環境は、温度が25.7℃、相対湿度が62%(絶対湿度が12.84g/kg)でした。
PMVは0.2と快適な領域です。

2階の寝室環境は、室温は25.3℃、相対湿度は64%(絶対湿度12.94g/kg)でした。
MPVは0.1でこちらも快適な領域です。

PMVを求める場合、着衣量や運動量は下図から算定します。

快適とは反対に不快度を把握するための手段は、PMVの他に絶対湿度という指標があります。
絶対湿度とは、1kgの空気中に含まれる水蒸気の重さを表します。
つまり空気中の水蒸気の量を表しています。
例えば、今日の気温が30.4℃で相対湿度が56%の場合、絶対湿度は15.06g/kgとなります。
絶対湿度は、下図のように湿り空気線図に温度・相対湿度の線を引き交わしたところが水分量です。
個人差はあるものの、夏場は一般的に13g/kg以下が快適だとされています。

実際には湿り空気線図を使って絶対湿度を求めるのは手間がかかります。
私が通常使用しているアプリを使えば、簡単に絶対湿度を求めることができます。

ただ注意点は、このアプリで表示される絶対湿度の単位がg/m3である点。
つまり、1㎥あたりの水分量を示しており、一般的な1kgあたりの水分量とは異なり、約1.2倍の値となります。
これは、空気の重さが(20℃、相対湿度65%、1気圧)で約1.2kgあるためです。
そのため、混合比を読み取っていただければ問題ないかと思います。

有限会社 佐藤工務店一級建築士事務所

佐藤工務店は上尾市で創業し50余年を迎えました。
一級建築士設計事務所を併設し、新築工事・リノベーション・耐震改修、断熱改修工事が得意です。
安心快適ながら、30年・50年後の暖冷房光熱費と内外装のメンテナンスコストの安い「いい家」が一番だと思っています。
最新の技術と知見によって、お客様に最適な方法をご提案させていただきます。